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冬の日に草木の芽がわずかに顔を出すその様子を「冬萌(ふゆもえ)」と呼ぶそうです。小さな芽がやがて来る春に向けて準備をするように、幼い子どもは小さな身体に目いっぱいのエネルギーを秘めています。こうしたイメージを重ね合わせてつけたタイトルです。

 

作品は次男をモデルに制作しました。ソファーでころんと、たまごみたいに丸くなっている姿がとても愛らしく感じました。互いの視線が交錯しているところがポイントです。「かわいいな」と思いながら見つめている私。そして、息子もリラックスしているような表情。母子間で見つめ合っている状態を母の視点で描いています。

「冬萌」

廣戸 絵美

石黒賢一郎

羅展鵬

家事や息子たちの相手をしていても、常に絵のことを考えていられるように、リビングのすぐ隣の部屋をアトリエとして使っています。私が制作していると息子たちもいつの間にか入ってきます。アトリエには工作に使えそうな色紙や絵の具セットを置いて、息子たちが好きな時に、自由にアトリエで遊べるようにしています。「ママ、見てみて!」と手を止められることも多いですが、子育てと絵を描くことは別々のことではなく、私の生活、人生そのものになっています。

子育てと絵を描くことは、私の人生そのもの

アトリエの工作スペース

作家インタビュー

広島市立大学、同大学院で油絵を学び、2008年から北海道で制作活動を始めました。当時は主に「空間表現」をテーマにしていて、『階段』や『廊下』(ホキ美術館蔵)などのコンクリート壁の室内風景画に取り組んでいました。

結婚し、出産や育児などでしばらく制作を中断していましたが、2018年から少しずつ作品の発表を再開しています。再開後に取り組んでいるのは、子どもを題材にした作品です。『My blue moon』、『My baby blue』(ホキ美術館蔵)といった息子を描いた作品や、幼い女の子をモデルにした作品を発表しています。

2児の母として慌ただしい日々を過ごしていると、本当に1日があっという間です。そうした中でも息子たちをモデルとして描く時間はとても大切で、アトリエで向き合っていると、ちょっとした成長や変化に気づかされます。子どもの柔らかい肌、繊細な髪、穏やかな寝息、生命を感じるように描いてみたいと思っています。

生命を感じるように描いてみたい

「階段」2010

​※現在ホキ美術館での展示はありません

​「My blue moon」2021

広島市立大学、同大学院で油絵を学び、2008年から北海道で制作活動を始めました。当時は主に「空間表現」をテーマにしていて、『階段』や『廊下』(ホキ美術館蔵)などのコンクリート壁の室内風景画に取り組んでいました。

結婚し、出産や育児などでしばらく制作を中断していましたが、2018年から少しずつ作品の発表を再開しています。再開後に取り組んでいるのは、子どもを題材にした作品です。『My blue moon』、『My baby blue』(ホキ美術館蔵)といった息子を描いた作品や、幼い女の子をモデルにした作品を発表しています。

2児の母として慌ただしい日々を過ごしていると、本当に1日があっという間です。そうした中でも息子たちをモデルとして描く時間はとても大切で、アトリエで向き合っていると、ちょっとした成長や変化に気づかされます。子どもの柔らかい肌、繊細な髪、穏やかな寝息、生命を感じるように描いてみたいと思っています。

廣戸 絵美

1981年広島県生まれ。広島市立大学芸術学部油絵学科油絵専攻卒業、同学部研究科絵画専攻修了。道銀文化財団野田塾研究生として北海道にて制作活動 (2008-2012)。ホキ美術館開館記念特別展。第1回存在の美学-伊達市噴火湾文化研究所同人展 (2012, 2014高島屋各店)。超写実絵画の襲来 ホキ美術館所蔵(2020 Bunkamura ザ・ミュージアム), ホキ美術館名品展(2020 奥田元宋・小由女美術館, 2021 倉吉博物館、宮崎県立美術館、金沢21世紀美術館)

私にとって“描く”という事は“対象を知る”ことであり、同時に“自分を知る”ことでもあります。対象を見つめている自分の心の中を覗き込むように、自分自身を深く掘り下げていく行為だとも考えています。

以前は人物画を描いても、静物画とあまり変わらないように感じていたところがありましたが、息子たちを描く中で、子どもの持つ体温、私と同じ空間にいて、そこで息をしてる、同じ時間を過ごしてるというところも表現したいと思うようになりました。

 

以前は「見たものを忠実に表現しなければならない」といった写実絵画の制約のようなものを感じていたように思います。しかし、最近は“写実”という枠を気にしなくなりました。「対象を正確に捉える」という行為は実は人それぞれに異なるのではないでしょうか。「形」、「色」、「重さ」、「質感」、「距離」など、何を重視するかによっても表現は変わります。また、人によってモノの見え方は、その人の経験や思い出、興味関心、時代の空気などの影響を受けます。いまはそう考えていて、画家と対象との間にある関係性までもリアルに画面に描き出したいと思っています。

私なりの表現を求めて

朝5時過ぎに起床。朝食を作り、息子たちを学校へ送り出すと制作の時間です。画面に向かう前には、必ずコーヒーを飲みます。私の絵は完成までかなりの時間を必要とするため、息子たちが学校へ行っている、静かな時間に集中することが大切です。1杯のコーヒーが母親から画家へと気持ちを切り替えるスイッチになっています。

気持ちを切り替えるスイッチ

スロベニアの国旗がモチーフのマグカップ。国旗マニアの長男からのプレゼント

1981 年広島県生まれ。広島市立大学芸術学部油絵学科油絵専攻卒業、同学部研究科絵画専攻修了。道銀文化財団野田塾研究生として北海道にて制作活動 (2008-2012)。ホキ美術館開館記念特別展。第1回存在の美学- 伊達市噴火湾文化研究所同人展(2012, 2014 高島屋各店)。超写実絵画の襲来 ホキ美術館所蔵(2020 Bunkamura ザ・ミュージアム), ホキ美術館名品展(2020 奥田元宋・小由女美術館, 2021 倉吉博物館、宮崎県立美術館、金沢21世紀美術館)

​廣戸 絵美

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